漆を使って接着し、金粉などで装飾する陶磁器の修復技法”金継ぎ”は、海外でも注目されています。
陶芸好きの多い国では、専門のWebサイトもあるほど。海外では、どのように紹介されているのでしょうか?

Youtubeで58万回以上の再生数を記録している動画『Kintsugi: The Art of Embracing Damage』を例に挙げてみます。

金継ぎはWABI SABI文化の象徴

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動画では、15世紀の日本の歴史を解説。室町時代の将軍・足利義政がとても大事にしていた青磁茶碗にひび割れが生じたため、中国に修理を依頼したところ(※東京国立博物館の『青磁茶碗・銘馬蝗絆』では、修理とは言及しておらず、”代わるものを中国に求めたところ”と説明)、鉄の鎹(かすがい)でひび割れを止めて送り返してきたことが始まり。動画では、レポーター(Nerdwriter1さん)が「醜い姿だったので、義政が職人により良い修復方法を探らせた」と話しています。このことがきっかけで、日本に”金継ぎ”文化が始まりました。

国立博物館のWebサイトによると、この青磁茶碗(重要文化財)は「あたかも大きな蝗(いなご)のように見える鎹(かすがい)が打たれたことによって、この茶碗の評価は一層高まり、馬蝗絆(めいばこうはん)と名づけられた。」と解説されています。

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出典:東京国立博物館より『銘馬蝗絆』(http://www.tnm.jp/)

動画ではまた、「西洋のシンメトリー(対照的)や幾何学的な美しさを求める文化と日本の文化の違い」についても触れています。日本には、”わびさび(侘・寂)”という「不足の美」を愛でる文化があり、金継ぎは”わびさび”を象徴するもの、と位置付けて説明されています。

前述の足利義政が愛用した『銘馬蝗絆』の器は、修復されたことによって「不完全の中の美しさ」を体現しています。動画のレポーターも「金継ぎはオリジナルよりも更に美しさを増す」と伝えていますが、「捨ててしまうにはもったいない、何とかしたい」という文化が脈々と続いているからこその技法だと感じます。

ヘミングウェイは”金継ぎ”の理解者 !?

Ernest Miller Hemingway

アメリカの小説家で詩人のヘミングウェイ。代表作は『老人と海』

“金継ぎ”という日本の”わびさび”文化は、ヘミングウェイ(アーネスト・ヘミングウェイ/アメリカの小説家で詩人、ノーベル文学賞受賞)の考えにも通じるものがあるのでは?と、小説『武器よさらば』の名文を引用し、解説しています。

The world breaks everyone, and afterward, some are strong at the broken places.

この世では誰もが苦しみを味わう。そして、その苦しみの場所から強くなれる者もいる。

 

一度壊れてしまったら終わりではなく、そこからまた文化(人生)は始まる。”金継ぎ”の美しさをヘミングウェイの文章に再現したレポーター自身の解釈は、私たち日本人の心にもとても沁み入るのではないでしょうか。

このNerdwriter1さんというレポーターが掲載した動画には、839件(2017年3月19日現在)のコメントが寄せられています。「素晴らしい」と概ね好評で、人生観を変えたといったコメントも。以下の動画、ぜひご覧ください(※英語での解説となります)。

一般社団法人日本ふるさと手しごと協会が運営する「手しごと再生工房”RebornArt”」では、金継ぎなどの修繕修復を承っております。大切にしている陶磁器のひび割れや破損など、お気軽にご相談ください。